総評:買う価値4(5段階中)AIに携わる人と子供がいる人。2018年刊行なので注意。
今回は、本全体で1つの論旨のためまとめ形式を一部採用。
・著者は数学者で、東大にAIを合格させるプロジェクトの発起人
(本文骨子)
①「AIを利用して、MARCH合格まで育て上げた」(私はAI第一人者の一人だ)
②「(その私が)数学者として、AIは限界がありシンギュラリティは来ない」
③「その事例として、6つの能力を想定して、その大部分がAIにできないことを証明」
④「ただ、中高生に上記6つの能力を図る試験をやらせたら、すべてできなかった。(これを教科書が読めないと言っている)」
⑤「AIは限界があっても、6つの能力のうち2つは高いので、これらに加え、AIが得意な記憶能力を加えたら、失われる仕事がたくさん出てくる。未来の日本は危ないので、子供たちに、上記6つの能力を育てよう」
(気になったポイント)
・どこまでいってもAIには東大は合格できない。機械学習(モデル作りが大事)-深層学習(モデルをAIが作る)-強化学習(モデルなしでも、制約条件が必要。制約条件がなければ、無限のシミュレーションが必要。これは最速コンピューターでも無理)のどれでも無理。
・人間がAIに勝てそうな能力には、「係り受け」「照応」「同義文判定」「推論」「イメージ固定」「具体例同定」と6つの能力を想定している。先の2つ「係り受け」「照応」は、AIも80%以上とれるようになってきているが、AI採点にも使えそうな「同義文判定」含めて後者の4つはAIが苦手としている
・数学者として、コンピューターは「0/1」の世界であるため、人間の知的活動が数式で表現できなければ、
AIがすべて人間にとって代わることはなく、シンギュラリティも来ない
(シンギュラリティの理解は、1未満の数はいくらかけても、1を超えないが、1を少しでも超えた数動詞を書けると、1より大きくなる。この1より大きくなることを指す)
・数学は、「論理」「確率」「統計」の3つに集約される。これらのものはAIで代替されるが、これ以上のものはAIでは無理。
・実際に、AIも自然言語処理と情報検索処理は、「統計」を利用している。
⇒だから、「おいしいイタリアレストランは?」とGoogle検索すると出てくるが、「この近くのイタリアレストラン以外のレストランは?」と聞いても先ほどと同じ回答になる。「以外」という言葉は理解されていない
・グーグル、ツイッターなどがAIに力を入れているのは、かれらのサービス(例えば、ストリートビューだとか、アダルトコンテンツが含まれた不適切なつぶやき)をチェックするため。これらは、無償サービスのため、日本の製造業に必要な製造物責任がないからできた。
・また、Google検索などは機械学習のために、例えば、悪い意味をスパムのように流すと、間違った検索結果が出てくる
・Googleが自動運転をAIで進めているのは、自動車メーカーに技術を売ろうとしているだけであり、車を作ることからは撤退した(このことは、Google自身がAIが完全ではないことを認めていることの例証)
・ただし、チャップリンの時代に、ベルトコンベアが導入され工場がオートメーションしたときに、ブルーカラーがホワイトカラーに移行できなかったように、AI時代によってあぶれたホワイトカラーが行き場を失う時代はすぐくる
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